校長日誌
4/22 SSH開講式(挨拶)
1年生SSH開講式を開催しました。
知的好奇心を源泉とした「勉強をもっと楽しみたい」生徒たちのわくわく感
が伝わってきました。
私からの挨拶です。
こんには、SSH開講式にあたり、お話します。
1年生の皆さん、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の世界へようこそ。
一女にきたら、SSHに取り組んでみたいと思っていましたか!?
それは、素晴らしいですね。きっと、「勉強をもっと楽しみたい!」というみんなの思いがあることでしょう。
今日から始まるこのプログラムは、今まで知っていたと思うことや未知のことに対して、新たな視点を獲得する「知のフロンティア」への入り口です。
それでは、これから3つ話します。
1. 知的好奇心こそ、最高の贅沢である
「なぜだろう」「どうしてこうなるのか」という疑問を抱き、その答えを探究する。この知的好奇心は、人間だけに与えられた最も贅沢な「知的営み」であり、何物にも代えがたい「楽しみ」です。
未知の事柄に出会ったとき、「難しい」と身構えるのではなく、「面白い!」と目を輝かせる。そんな知的なワクワク感を、このSSHの活動の中で存分に味わってください。
2. 「面白がること」の才能を磨く
研究には、壁がつきものです。再現実験をしてもうまくいかなかったり、予想外の結果が出たり、仮説が外れたりすることもあるでしょう。しかし、そんな時こそ「さて、ここからが面白くなってきたぞ」と笑える強さを持ってください。何事も「面白がって取り組む」姿勢は、創造性を生む最大のエンジンです。楽しんで取り組んでいる人には、誰も適(かな)いません。
3. SSHは「教科書の学び」を加速させる
「SSHの研究と、普段の授業の勉強は別物だ」と考える人がいるかもしれません。しかし、それは違いますね。SSHで探究の深さを知れば、普段、無機質に見えていた「教科書の一行」が、科学者たちの情熱や歴史の積み重ねに見えてくるはずです。研究で得た視点は、必ず皆さんの学習をより深く、より楽しいものへと変えてくれます。
おわりに
今日は3つ話しました。「知的好奇心こそ、最高の贅沢」「面白がることの才能を磨け」「SSHは「教科書の学び」を加速させる」
これらSSHの活動は一人では成し遂げられません。共に議論し、時には対立し、支え合って一つの課題に挑む仲間を大切にしてください。ここで結ばれた絆は、同じ志を持つ一生の宝物になります。互いの個性を尊重し、高め合える集団であってください。
皆さんの探究心が、新しい未来、新しい自分を切り拓く力になると信じています。みなさんの瑞々しい感性で、この世界を遊び尽くそう! 頑張れ!
4/18 PTA総務委員会(保健委員会による生徒プレゼン)
PTA総務委員会が開催されました。
ご出席いただいたPTA、後援会の皆様、渉外部の先生方ありがとうございました。
総会にむけてR7,R8について報告、検討をいただきました。
また、会の冒頭にお時間をいただき、生徒によるプレゼンがありました
このプレゼンは、保健委員会が実施してきた「MOON SHAREプロジェクト」事業についてです。
事業実施の持続性のために、予算面での話もありました。
事業内容、2名の発表生徒共に立派でした
「MOON SHAREプロジェクト」の概要は、保健委員会が発行している以下のHealth journal 4月号をご覧ください。
4/18 第1回塾向け説明会(挨拶)
第1回塾の先生方向け説明会を開催しました。
多数の皆様にご来校いただきました。
ありがとうございます。
全体説明後、授業参観などの校内見学もしていただきました。
本校でご覧いただいたことを塾の生徒や保護者の皆さまにお伝えください。
会の冒頭に私から挨拶をさせていただきました。
皆さま、こんにちは、校長の山﨑です。
本日は、本校の説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。
今年度、新入生を迎えて無事、新年度を始めることができました。
中学生の受検においては、塾の先生方に応援していただいたことが多分にあります。
昨年度は2回、11月15日と、年明けの1月10日に、塾の先生方向けの説明会を開催させていただきました。先生方には重ねてお越しいただきました。本校の説明会でのことを塾生のみなさんにお話いただいたり、ご自身の塾のホームページで発信していただたりしています。
そして、梅野さん、ノグジュンさんに、度々お越しいただき動画での発信をしていただいております。
皆様に、感謝申し上げます。
本校生徒や保護者のかたに、一女にきたのはどうしてか?と聞くと、塾の先生に推されて、という方が結構います。本校入学のきっかけになっていますし、生徒本人の人生にも大きな影響を与えています。
さて、今年の中3生から入試が変わります。
マークシート方式のことや、国語の作文がなくなることなど学力検査に関することで変更になることや、傾斜配点が各校によってことなっていること、全ての高校で面接をするということなど、あげていくと結構ありますね。
私は、入試は、選抜をするためのものであると同時に、中学生へのメッセージを含んでいると考えています。
これは、今回の話しではありませんが、5教科に関していえば、例えば、「説明しなさい」という問題が、あるときから出題されるようになりました。答えが出たかでなく、どうしてその答えになるのか意味がわかっているのかを求めていて、答えがでればよいという勉強ではなく、意味理解を伴う深い理解をしてきて欲しいというメッセージでした。
今回、すべての学校で面接をすることになりました。調査書のレイアウトが変わったので面接でアピールということもあります。
面接は、自分のことをこたえなければなりません。これは、すべての受験生にいえることですが、どうしてその学校に入りたいのか、入学して何をやりたいのか、高校での学びを通して将来はどうしたいのか、つまり「自分は何者か」を問うて欲しいということだと思っています。
「自分は何者か」「社会でどう生きたいか」を問い続けることは、学びの質を劇的に変えていきます。高校、大学と進み学ぶことが増えれば、思わぬことに出会って考えも変わって当然だと思います。
受験勉強まっしぐらで、精一杯頑張ってきた中学生は、大歓迎ですが、面接があるからこそ、「なぜ、一女を受けたのか」「たった一度の人生をどう生きるのか、何を実現したいか」立ち止まって問いを立ててみることは大事なことだと考えています。
塾の先生に劇推しされて一女へ入学する生徒の皆さんに、是非一度考えて欲しいことです。
このあと、教頭から本校のことについて、入試について説明をさせていただきます。説明後には授業参観等、校内を見学ください。
なお、次回、第2回の塾の先生向け説明会は、6月27日(土)を予定しています。中学生やその保護者向けの第1回説明会は6月13日(土)に開催していますので、説明会でお伝えしている内容や、受検勉強を進める中学生や保護者の皆さまから質問などがあれば、お答えしたり共有できればと思っています。
4/13 学校案内(校長挨拶)
正門の桜が緑美しくなりました。
青空と新緑のコントラストが素敵
さて、今年度版の中学生向け「学校案内」を制作中です。
小学生の皆さんも是非ご覧ください。
学校案内の校長挨拶をお伝えします。
中学生の皆さんへ
世界は今、かつてないスピードで動いています。グローバル化が加速し、AIが社会を塗り替えていく時代に求められるのは、「変化を恐れず、自ら未来を切り拓く力」ではないでしょうか。
浦和一女が目指すのは、知性と教養、そして逞しさを兼ね備え、世界を舞台に社会へ貢献できるリーダーの育成です。
本校の学びは、教室の中だけにとどまりません。生徒同士が本気でぶつかり合う白熱した授業、心とからだを磨き生涯の友情を育む部活動、全力で仲間と一つのゴールへ向かう学校行事——こうした日々の積み重ねが、皆さんの可能性を最大限に引き出します。
また、SSH、SGHで積み上げた実績を礎に、全校で「探究学習」にも取り組んでいます。自分の問いを深め、答えを出す力は、どんな時代にも通用する本物の学力です。
英国・台湾の姉妹校との交流をはじめ、多彩な国際交流の機会も皆さんを待っています。世界へ視野を広げ、多様な価値観に触れることで、「自分にしかできないこと」が見えてくるはずです。
浦和一女での3年間は、きっと生涯の宝物になります。
ここで、あなたの物語を始めましょう!
4/8 対面式
生徒会の皆さん、本日の対面式の開催ありがとうございました。
心のこもった素敵な「あひるバッチ」と「手引き書」です!
緊張していた1年生が、先輩と話をする中で笑顔になっていましたね
対面式にあたり、ひとこと...
2,3年生の皆さん、1年生を歓迎する側、対面式は歓迎式です。
先輩の皆さんには、是非、1年生を育ててほしい。
育てるといっても、手取り足取りで、指導しろというわけではなく、頑張っている先輩の姿、背中を後輩の1年生に見せてほしい。
1年生は、その先輩の姿をみて学び、成長します。
また、1年生の皆さん、入学おめでとう! 入学式から3日目。
新しい環境でつかれていませんか? 今日、先輩と顔を合わせて、今日からが高校生活のスタートですね。
さて、本校は、120年を超える伝統校です。
皆さんが生まれる前から、先輩が引き継いだものがあるからこそ、ここで学ぶことができます。その伝統に感謝。
ところで、伝統とは。
伝統は、老舗の鰻屋さんが大事にする「たれ」に例えられます。「たれ」は使った分だけ新しく注ぎ足し、それはやがて馴染んでその店の味となります。
学校も3年生が卒業して、新入生が入ってきます。新入生は、この「手引き書」で一女のお作法を学び、その都度、一女を形作ります。
ここで、大事なのは、伝統といわれるものは、常に新しい存在が求められるということです。
そして生徒会はいい塩梅に様々な学校行事を企画・運営して、一女の伝統を支える存在です。
2、3年生は、1年生が入ってきたからこそ、いままで以上に、学校を面白くできるし、あとを託せる。
1年生は、早く一女生になれ。
4/81学期始業式・校長講話「共生社会」
桜花爛漫、桜の花びら舞う佳き日
令和8年度 着任式・1学期始業式を迎えることができました!
高い志をもった魅力あるリーダーに成長して欲しい生徒の皆さんには、自分たちが生きていく「共生社会」のことを知って欲しい
校長講話は、「共生社会」について
1. 新たな出会いを「必然」に変える
皆さん、改めましておはようございます。先ほど着任式を終え、一女(いちじょ)に新しい風が吹き込みました。
一方で、慣れ親しんだ先生方との別れに寂しさを感じている人もいるでしょう。しかし、そう思えること自体が、皆さんがその先生と「最高の出会い」を経験した証拠でもあります。
高校時代の出会いは、時に人生の航路を大きく変える力を持っています。私自身の経験を振り返っても、高校で出会った友人や恩師の「自分とは全く違う面白い考え方」に触れた刺激が、後々(のちのち)の自分を形作っています。
この一女に集まった皆さんは、偶然の集まりではありません。「ここで学びたい」という強い意志と目的を共有して集まった仲間です。この「偶然の出会い」を、切磋琢磨し合う「必然の出会い」へと高めていってください。周りの仲間の興味関心に触れ、自分の世界をどんどん広げてほしいと思います。
2. 「合理的配慮」の先にある「共生社会」
さて、今日は社会の動きについて二つお話しします。一つ目は、2年前の4月から義務化された「合理的配慮」についてです。
この合理的配慮は、障害の有無や年齢、性別に関わらず、誰もが尊厳を持って生き生きと暮らせる「共生社会」を目指し、不当な差別を禁じ、必要な助けを届けようという仕組みです。車いすの方の入店を断らない、必要な情報の受け取り方を工夫するといったことは、今や社会の「義務」であり、皆さんが社会に出る頃には「当たり前のマナー」になっているべきものです。最近は身近に見たり、聴いたりするようになりました。皆さんの身近なことでは、入試における合理的配慮がありますね。
しかし、私は皆さんに一歩先を考えてほしいのです。誰かが困っているときに手を差し伸べる。それは本来、法律で決められる前から、私たちが人として大切にしてきた温かな「配慮」そのものではないか、ということです。
3. 「女性活躍」から「自分らしい生き方」へ
二つ目は、今の話に深く関わる「改正女性活躍推進法」についてです。
現在、社会では女性の職業生活における活躍を推進するため、企業に対して情報の公表や行動計画の策定が強く求められています。これは単に「女性の管理職を増やす」という数字だけの問題ではありません。
性別による固定観念を打ち破り、誰もが能力を最大限に発揮できる環境を整えること。
これもまた、先ほどお話しした「共生社会」の重要なひとつの項目です。
将来、リーダーとして社会を牽引していく皆さんにとって、この法律の変化は追い風です。しかし、制度があるから活躍するのではなく、皆さん自身が「どう生きたいか」を主体的に描き、道を切り拓いていくことが何より大切です。
4. 結びに:後輩たちの道標として
この後、対面式が行われます。新入生は、皆さんの背中を見て一女生活をスタートさせます。
目標に向かって真っすぐに突き進む先輩の姿は、何よりも雄弁なメッセージとなります。同時に、不安を感じている後輩にそっと声をかけるような「配慮」のできる先輩であってください。
その小さな行動の一つひとつが、この「一女」を、そして未来の日本を、より良い「共生社会」へと変えていく原動力になります。
それでは、令和8年度を始めましょう。
素晴らしい一年にしていきましょう!
4/6 入学式・式辞
桜花爛漫の中、期待を胸に新入生357名が入学しました
入学にあたり式辞を送りました。
寒さと暖かさが交互に行き交いながらも、命芽吹く春が巡ってまいりました。校庭の桜が、新たな門出を祝福するかのように、きらきらと光り舞う今日の佳き日。
PTA副会長 長坂 兼一(ながさか けんいち)様
後援会会長 田口 麻沙美(たぐち まさみ)様
麗風会会長 栗原 美恵子(くりはら みえこ)様
本校学校評議員 山口 善子(やまぐち よしこ)様
公私共にご多忙の中、ご臨席を賜りましたことに厚く御礼申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました三百五十七名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
難関を突破し、高い志を持ってこの「一女」の門をくぐった皆さんを、教職員・在校生一同、心から歓迎いたします。また、これまで慈しみ育ててこられた保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。
本校は明治三十三年の創立以来、百二十年を超える歴史を刻んできた、全国屈指の伝統を誇る女子高校です。社会が激しく変化する中にあっても、私たちは変わることなく、次代の日本、そして世界を担う「高い志を持った魅力あるリーダー」を育成することを使命としてまいりました。
各界で活躍する諸先輩方の足跡は本校の誇りですが、今日からは、皆さんがその新しい歴史を創り出す主役なのです。
これからの「一女での一〇〇〇日」が、皆さんの人生を決定づける豊かな時間となるよう、三つのお願いを伝えます。
一つ目は、「自ら考える力」グライダーから飛行機へ
外山滋比古さんの著書『思考の整理学』に、「グライダー人間」と「飛行機人間」の話があります。
グライダーは美しく空を舞いますが、自力で飛ぶことはできず、常に他者に引っ張ってもらう必要があります。一方、飛行機は自らのエンジンを回し、自分の意志で目的地へと飛び立ちます。
これまでの学びは、与えられた問題を解く「グライダー能力」が主だったかもしれません。しかし、正解のない問いに向き合うこれからの時代には、自ら課題を見つけ、エンジンを回して進む「飛行機能力」こそが不可欠です。この三年間で、生涯を支える「思考のエンジン」を鍛え上げてください。
二つめは、「将来の自分」との対話について
経済産業省による「未来人材ビジョン」では、日本の学生の多くが大学の後半になってから進路を考え始めるという結果が出ています。しかし、高校時代という多感な時期に、じっくりと「自分は何者か」「社会でどう生きたいか」を問い続けることは、学びの質を劇的に変ていきます。
一女での新たな友人、先生、そして学問との出会いは、皆さんの可能性を無限に広げるはずです。今持っている固定観念に縛られず、広い視野で「将来の自分」をデザインし始めてください。
三つめは「自律的な安全」と「対話の力」について
高校生活では行動範囲が大きく広がります。通学やSNSの利用、あるいは予期せぬ自然災害など、リスクを予測し、回避する判断力を養ってください。自分の身を守ることは、自律した大人の第一歩です。
同時に、一人で抱え込まないでください。悩みや不安が生じたときは、周りの友人や大人に言葉を尽くして相談してください。対話こそが、困難を乗り越えるときに大事となります。
保護者の皆様、学校教育は、学校・家庭・地域が手を取り合ってこそ、その真価を発揮いたします。私たち教職員は、大切なお子様を全力で導いてまいる所存です。どうぞ本校の教育方針へのご理解と、温かな励ましをお願い申し上げます。
結びに、本日ご臨席いただきました皆様に改めて感謝申し上げますとともに、新入生の皆さんが「一女」での日々を、たくましく、しなやかに、そして悔いなく駆け抜けることを心より祈念し、式辞といたします。
令和八年四月六日
埼玉県立浦和第一女子高等学校長
山﨑正義
令和8年度スタート!
令和8年度がスタートします
校内の桜がとてもきれいです
4月6日(月)入学式
ひと足早く新入生をお迎えします
4月8日(水)着任式、始業式、対面式
今年度も引き続き、どうぞよろしくお願いします
令和7年度修了式校長講話「議論の楽しさ」
昇降口下の桜が少しずつ開花。
4月の新入生、新学年生も歓迎して欲しい。
今日は、今年度最終日、修了式となりました。
校長講話は「議論の楽しさ」について話しました。
みなさん、おはようございます。
今日は、1年の最後、修了式です。一区切りをつけて、次のステップに向かうところ。一年をやり遂げた清々しさを感じていますね。そんな皆さんに、今日は「議論することの楽しさ」をお話ししたいと思います。
さて、皆さんに一冊の本を紹介しましょう。大阪大学の研究者たちが真面目に、かつ遊び心を持って議論を尽くした、『ドーナツの穴だけ残して食べる方法』という本です。ここでのドーナツは、輪になった形を思ってください。ミスドには、輪になっていないものもあるけど、ポケモンなどのキャラクターものなど、今回それは除外。
「ドーナツの穴を残して食べるなんて、そんなの物理的に不可能だ」と切り捨ててしまうのは簡単です。しかし、この本に登場する学者たちは違います。数学者は「ドーナツの形(トーラス)」の定義から考え、工学者は「穴を空間としてどう定義し、保存するか」を模索し、美学者は「穴があるからこそドーナツである」という存在論にまで踏み込みます。みなさんが、興味のある分野の先生が書いた部分だけでも読むと面白さがあると思います。
今日は、この「一見無駄に見える問いを議論すること」の価値について、皆さんと共に、3つに分けて考えてみたいと思います。
一つめ、議論とは、世界の「解像度」を上げること
「議論」と聞くと、相手を言い負かすことや、一つの正解を導き出すことだと思っている人はいませんか? もしそうなら、それは大きな誤解です。
この本の面白さは、「一つの問いに対して、多様な視点が交錯する瞬間」にあります。
数学、物理学、歴史学、心理学、法学、哲学……それぞれの専門家が自分の眼鏡でドーナツを見たとき、そこには全く異なる風景が広がります。
議論をすることの真の面白さは、自分一人の視点では決して到達できなかった「新しい視点」を、他者の言葉を通じて手に入れることにあります。自分とは異なる意見に出会ったとき、「それは違う」と拒絶するのではなく、「なぜ、この人にはそう見えるのだろう?」と問いを立てる。その瞬間、皆さんの見ている世界の解像度は劇的に上がるのです。
二つめ. 議論する力をつけるために、今必要なこと
では、本校で学ぶ皆さんが、真の意味で「議論する力」を身につけるためには、何が必要でしょうか。私は二つのことが不可欠だと考えています。
ひとつは、「徹底的な基礎学力」という武器
これは、意外に思いますか。各個人の「知識を深めること」はとても大事です。
ドーナツの議論が成立したのは、参加者がそれぞれの分野でプロフェッショナルだったからです。確かな知識という足場がなければ、議論はただの「感想の言い合い」に終わってしまいます。皆さんが日々向き合っている数学の定義・公式や古文の文法、物理の法則。これらは将来、誰かと対等に議論し、新しい価値を生み出すための「共通言語」であり、皆さんの「武器」なのです。
もうひとつは、「知的誠実さ」という作法
これは、「わからない」を恐れない勇気です。
議論の場で最も恥ずべきは、知ったかぶりをすることや、論破することに固執して相手を敬わないことです。自分の仮説が間違っていたら、それを素直に認め、他者の優れた意見を吸収する。この「知的誠実さ」こそが、議論を建設的なものにします。
三つめ、議論が「学び」をどう変えるのか
最後に、議論することが皆さんのこれからの学びにどう生かされるのかをお話しします。
これからの社会では、AIが瞬時に「もっともらしい答え」を出してくれるようになります。しかし、「問いを立てること」と「納得解を紡ぎ出すこと」は、人間にしかできません。
議論を通じて多角的な視点を持つことは、皆さんの学びを「暗記」から「創造」へと変えます。
みんな自身が友達とすぐにでもできることとして、例えば、物理の法則を学ぶとき、「もし重力がなかったら?」という仮説を友人と議論したり、歴史の出来事に対し、「もし別の選択がなされていたら?」と多角的に検証したり、妄想したりは楽しい。
また、私たちは、うまく解釈できないときに「意味わかんねぇ」とつい言ってしまう。これは、私たちが常に能動的に物事を捉えようとしているということ。この「意味わかんねぇ」ときに、誰かに向かって「ねぇねぇ、これ意味わからんなんだけど」と話せるとよい。聞かれた相手は、「何が意味わかんねぇ」なのか、自分の知識を振り返る。これを「メタ認知」という。この一連のやりとりは、みんなの知識が能動的、つまりアクティブに働く瞬間、アクティブラーニングともいう。これは、わからなさをめぐるちょっとした議論だ。「意味わかんねぇ」は貴重な機会。ひとりの「意味わかんねぇ」は、そのわからなさの追求でちょっとした議論だ。このとき、質問した方と、質問された方はどちらが学びが大きいか? 質問した方は解決すれば、何よりだが、質問された方は、自分の知識がより深くなるので学びの価値は数倍大きい。人に説明したり、教えたりは自分の勉強にとって何より大事な機会だ。
春休みは、自宅で一人ということもある。誰か相手がいなかったら、生成AIでもよい。よくわからないことや問題があったら、それを写メって、AIにくわせて、「これ意味わからないのですが、中学生にもわかるように説明してください」と対話してみよう。このとき最初のところで、「あなたは、優秀な高校の数学の先生です」とか、AIの役割を定義してあげると回答の精度があがる。また、丁寧な言葉で語りかけると、AIも丁寧にかえしてくれる。
こうしたプロセスを経た知識は、一生忘れることのない、あなた自身のものとなります。一人で机に向かう時間は大切です。しかし、その孤独な思考を他者にぶつけ、揉まれることで、学びは初めて深まりをもち、社会とつながり、輝きを放つのです。
おわりに、皆さんは、この春休みという時間を使って、「よくわからん」も含めた多くの「問い」に出会ってください。そして、それを友人と、家族と、AIと、あるいは自分自身と対話や議論に繋げてみてください。
「ドーナツの穴」を真剣に論じる大人たちがいるように、皆さんも「正解のない問い」を愛せる人になってほしいと願っています。
一年間、よく頑張りました。4月、また一回り大きく成長した皆さんと、再会できることを楽しみにしています。
3/18入学許可候補者説明会「挨拶」
【2/26学力検査当日の朝】
合格した中学生が、説明会に来校しました。
制服採寸・上履き購入など、心身共に高校生
説明会では、各担当からお話がありました。
私からの挨拶です。
皆さん、本校への合格、誠におめでとうございます。
今日、ここで、皆さんにお会いすることができて、大変嬉しく思います。
そして、ここまで温かく、支えてくださった保護者の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。
さて、皆さんはこの合格を勝ち取るために、長い時間をかけて努力を積み重ねてきたことと思います。その努力は、本当に素晴らしいものです。
しかし、ここで少し立ち止まって、考えてほしいことがあります。
合格は、ゴールではなく、新たなスタートライン。
本校に入学したら、
何をしたいですか?
どんな仲間と出会いたいですか?
どんな自分になりたいですか?
今、ここに集まった皆さんは、事前に連絡をとりあって、ここにきたのではありません。今日は、偶然の出会いです。
でも、一女で学びたいという意思をもって集まりました。思いを同じくした者同士の出会いは、やがて必然の出会いにかわっていきます。
ですので、本校で
何をしたいですか?
どんな仲間と出会いたいですか?
どんな自分になりたいですか?
入学するまでに、ぜひ一度、この問いと向き合う時間をつくってください。
高い志を持って入学した人と、なんとなく入学した人とでは、3年間で大きな差が生まれます。
目標は大きければ大きいほど、皆さんの可能性を広げてくれます。
入学式の日、この場にいる全員が晴れやかな笑顔でそろうことを、心から楽しみにしています。規則正しい生活を心がけ、体と心の準備を整えておいてください。
卒業証書授与式「式辞」
3年生が立派に巣立っていきました卒業
式辞を送りました。
式辞
校内の杜に、春のやわらかな息吹を感じる今日の佳き日に、麗風会会長・栗原美恵子様、PTA会長・八坂剛士様をはじめ、多数のご来賓のご臨席を賜り、「第七八回卒業証書授与式」をかくも盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、私たち教職員一同にとりましても、この上ない喜びでございます。
心より、感謝申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与しました卒業生の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。三年間にわたる皆さんの弛まぬ努力と著しき成長に、心から敬意を表します。
思い返せば、今からおよそ六年前、新型コロナウイルス感染症への対応が始まりました。今となっては遠い記憶のようにも感じられますが、皆さんにとっては、中学校から高校へと進む、人生の大切な時期と重なっておりました。思い通りにならない日々の中で、どれほどの思いを抱えてきたことでしょう。
「疾風に勁草を知る」――激しい風が吹いてはじめて、強い草の存在がわかる、という言葉があります。苦難の中にあってこそ、人の真の強さと輝きが現れます。あの困難な経験が、皆さん一人ひとりをたしかに成長させてくれた、と私は確信しております。
卒業生の保護者の皆様、お子様のご卒業を、心よりお祝い申し上げます。長年にわたり、PTA会員として本校の教育活動に温かいご理解とお力添えをいただきましたことに、深く感謝申し上げます。
さて、卒業生の皆さん、これからをいかに生きていくか――今日はそのことについて、申し上げたいと存じます。
皆さんの強みは、本校での学びを通じて培った、様々な資質と能力にあります。各教科で修めた知識はもとより、粘り強く、あきらめず、最後までやり遂げる力――それは、人として大きく成長した証に他なりません。
その力を土台に、自らの夢や希望に向かって何事にも挑戦できる。たとえ一度うまくいかなくとも、何度でも立ち上がれる。それが皆さんの大きな可能性です。
しかし同時に、今の皆さんは「まだ何者でもない」とも言えます。これは決して弱みではありません。むしろ、これから何にでもなれるという、自由の証です。
ここで、私自身のことを少しお話しさせてください。
私は大学を卒業後、民間企業に就職しました。しかし、「数学の教師になりたい」という思いが心の中にありました。やがてその思いや周囲の事情もあり、会社を辞めて教員採用試験を受ける決意をしたのです。
当時は結婚して小さな子どももおり、世は「就職超氷河期」と呼ばれた時代でした。そのような状況で会社を辞めるなど、周囲のほとんどが反対し、賛成してくれる友人はいませんでした。
そのとき、高校時代の恩師に相談しました。その先生は、こう言ってくれたのです。「そんなにやりたいんだったら、頑張れ。お前ならいい教師になれるよ。」――そして、こう続けました。「ただし、覚悟はあるのだろうな。」
「覚悟」――その一言は、重く、しかし温かく、私の胸に深く刺さりました。妻もまた、賛成して応援してくれました。素晴らしい妻です。
応援してくれる人がいたからこそ、私は精一杯頑張ることができました。そして教師になって、本当によかったと思っております。今日こうして皆さんの卒業を祝福できることが、この上ない幸せです。
まだ「何者でもない」皆さんは、これから様々な経験を積む中で、さらに大きく成長していきます。今は意識していなくても、いつかふと「これが、自分の本当にやりたいことだ」と気づく瞬間が訪れるかもしれません。
スティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業式においてこう述べました。「一番大切なのは、あなたの『心と直感』に従う勇気だ。なぜなら、あなたの『心と直感』は、あなたが本当は何になりたいのかを知っているから」と。
哲学者・内田樹氏は、このジョブズの言葉を受けてこう言います。ここで大切なのは「心と直感」そのものではなく、「それに従う勇気」である、と。なぜ勇気が必要か。「本当になりたいもの」に向かおうとすると、周囲のほとんどが反対するからです。みなが賛成してくれるなら、勇気など要りません。 「そんなことは止めろ」と言われるからこそ、それに抗うために勇気が必要なのです。
私自身の経験からも、この言葉には深く共感するところがあります。「これをやってみたい」と思っても、現実を前にすると躊躇することは少なくありません。自分の心と直感に従う勇気は、容易には出てこないものです。
保護者の皆様、もしお子さんが「こうしたい」と打ち明けてきたときは、どうか温かく背中を押して、応援してあげてください。親からのひと言が、お子さんの人生を大きく動かすことがございます。
人生は、決して平坦ではありません。喜びや楽しさがある一方で、悩み、立ち止まることもあるでしょう。最後は、勇気と覚悟をもって自分で決める――それが自分の人生です。しかし、その前に誰かに相談できるとよいですね。
迷ったとき、困ったときは、いつでも相談しにおいで。一女の先生方は、いつも皆さんの味方です。応援してくれる人がいれば、また一歩踏み出す力が湧いてくるでしょう。
ゲーテはこう言いました。「自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる」と。言葉は、苦しいときに心を支え、勇気を与えてくれます。どうか、自分を信じてください。
本校の卒業生は、皆さんを加えて三四、九三三名となりました。およそ三万五千人の先輩方が、今この社会を力強く支えています。皆さんも今日から、その誇り高き仲間の一員です。卒業生同士のつながりを、これからも大切にしてください。
日本は「課題先進国」とも称され、超高齢社会・人口減少・産業構造の変化、そしてAIをはじめとする技術革新が急速に進展しています。これからの時代を切り拓き、次の世代を支えていくのは、他でもない皆さんです。ともに歩んでまいりましょう。
結びに、本日こうして皆さんの門出を祝福できますことを、校長として、そして一人の教育者として、深く感謝申し上げます。ランチミィーティングはとても楽しかった。皆さんとともに過ごしたかけがえのない日々に、心より感謝いたします。
卒業生の皆さんの、これからの着実で誇り高い歩みを、心よりお祈り申し上げまして、式辞といたします。
令和八年三月十七日
埼玉県立浦和第一女子高等学校長
山﨑 正義
1年生SSH閉講式
SSH1年生の取組がひと区切り。
本日、閉講式がありました。
来年度のあらたな取組に期待
式の冒頭に、以下のようなお話をしました
みなさん、こんにちは。
1年間のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)プログラム、取り組んでみてどうだったか。
楽しくやれたか。
それは、質的な面でどのようなものか。みんなで話したら面白い!
さて、SSHは、日頃の授業とは、少し違う。
授業では、教科書があります。教科書にあることを、「なるほどぉ」と勉強する。教科書には「正解」らしいことが、でている。
一方、このSSHは、教科書の内容を理解して、覚えたりということとは違っていたのではないか。
そもそも、「正解」があるのかどうか。
実験をしてみて、失敗してしまい、仮説が打ち砕かれたこともあったかな?
しかし、科学の世界では「期待通りの結果が出ないこと」こそが、新しい発見への扉。
皆さんが流した試行錯誤の汗は、論理的思考力という一生モノの武器に変わっていく。
来年も継続して取り組む人もいるし、これで一度区切りをつける人もいる。
いずれにしても、SSHに取り組んだ経験をとおして、これからも、身の回りの「なぜ?」を大切に!。
ここで、「僕には鳥の言葉がわかる」の著者、研究者の鈴木俊貴さんの本のあとがきを紹介して、終わりの言葉にします。
「情報を得るのが容易な時代となった。わからないことばはインターネットで検索したりAIに質問すれば、たいていの場合、即座にその答えが見つかる。
しかし、それらをつかっても、どうしても得られないものがある。それは、僕たち自身と自然とのかかわりの中から生まれる、世界についての新たな気づきや発見である。だからこそ、自然観察は楽しいのだ。
そしてその楽しさは、アカデミアのような特別な場でなくても、誰しも日常の暮らしの中で体験できるものである。」
身の回りの「なぜ!」を大切に!
2/7(土) 探究学習成果発表会(全体会の挨拶)
【前半】個別発表 【後半】
全体発表
探究学習成果発表会を開催しました。
前半は、個別の取り組みを各教室で発表。後半は、体育館で6つの班が全体発表を行いました。
探究の学習は、教科学習に活きるものです。
各自の取組を大切にして、これからの学習につなげていこう
ご指導いただいてきた、三菱UFJリサーチコンサルティング並びに、西村あさひ法律事務所の皆様、本日も直接ご指導いただき誠にありがとうございました。
また、メディアバンクスの梅野弘之様、学校広報動画ラボの野口純様にもご覧いただきました。様々な観点でお話をいただけることは大変参考になるとともに、励みになります。ありがとうございます。
私から全体会のはじめに挨拶をしました。
皆さん、こんにちは。
今年もこの発表会の日を迎えられたことを、私は、心から嬉しく思っています。
中学生の皆さん、発表会にお越しくださりありがとうございます。中学生の皆さんの視点でご覧ください。
さて、前半の発表は、各自、伝えたいことが話せましたか!
後半は、全体会。発表者の皆さん、ちょっと緊張したほうが、うまくできます。
ゆっくり深呼吸をして、「ここを聞いてくれ!」という気持ちを強く、これまで積み上げてきた「探究の軌跡」に自信を持って、壇上に上がってください。
本校は、全国に先駆けてスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、20年以上前から探究学習の道を切り拓いてきました。今や「文理融合」や「教科横断」は教育界のトレンドですが、本校ではすでに、全生徒がサイエンスの視点を持って多様な問いに向き合う文化が根付いています。
探究学習の醍醐味は、「正解のない問い」に対して、自分なりの仮説を立て、検証し、更新し続けるプロセスそのものにあります。
教科書をなぞるだけでは得られない「なぜ?」という知的な震え、壁にぶつかった時のもどかしさ、そして新たな発見に至った瞬間の高揚感。それらすべてが、皆さんを大きく成長させてきました。
そして今日、皆さんはその成果を「発表」します。
自分の考えを言葉にし、他者に伝えるという行為は、単なる報告ではありません。自分の思考を客観視し、他者の視点を取り入れることで、探究がさらに磨かれる「知の共創」の場なのです。
私が皆さんに望むのは、このプロセスを心から楽しむこと。
ここで得た「自ら問いを立て、解決する力」は、生涯にわたる皆さんの最強の武器、そして財産になります。
さあ、皆さんの「情熱」と「知的好奇心」を、存分に語ってください。楽しみにしています。
2/7(土) 学校説明会(挨拶)
本日(2/7)は、中学生の皆さん向けの学校ミニ説明会と本校生徒の探究成果発表会を開催しました。
天気予報で雪マークのつく日となり寒い中、お越しくださり感謝申し上げます。
以下、ご挨拶です。
皆さま、おはようございます。校長の山﨑 正義 です。
本日は、本校の探究成果発表会へお越しいただき、併せて、この説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。保護者の皆様におかれましても、お忙しい中、ご来校いただきました。感謝申し上げます。
本日は探究成果発表会ですが、中学生の皆さん自身も、中学校で総学の時間、各教科学習の中や夏休みなどに興味を持ったテーマで研究をしたりと、何か取り組みをしてきているのではないかと思います。
本校生徒の発表を聞きながら、それなら同じようなことしてきたとか、面白い視点だなぁ、とか、話し方がウマいなぁとか、いまいちだなぁとか、自分と比べならがお聞きください。
ここで、1冊の本を紹介します。ある一人の研究者の生き方を通して、皆さんが今取り組んでいる「学び」、そして「探究」というものの面白さについて知ることのできる、とても面白い本があります。
それは、この本、『僕には鳥の言葉がわかる』、東京大学の鈴木俊貴(としたか)先生が書かれた本です。今年度のイチオシ、私が一番面白かったと思う本です。
鈴木先生は、大学生のころから、15年以上にわたって森の中に身を置き、シジュウカラという小鳥の鳴き声をひたすら聴き続け、彼ら・彼女らが「タカが来たぞ(警戒)」「集まれ(集合)」といった単語を組み合わせ、「警戒しながら集まれ」という文章を、異なる鳴き声の組み合わせで作っていることを、世界で初めて証明しました。
このお話は、光村図書の中学校1年生の国語の教科書にも掲載があったので、中学校の国語の時間に勉強した、というひとがいるかもしれません。
この本には、鈴木先生の探究活動がとても丁寧に描かれています。鈴木先生がかかれたシジュウカラのイラストもとてもかわいいです。是非、みなさんも読んでみてください。高校での探究や、大学で研究することの面白さを感じることができます。
この話を、2月2日の全校朝礼で校長講話として生徒に伝えました。その内容をホームページにあげていますので、お時間がありましたらご覧ください。
このあと、一女に関する学校の説明と、選抜基準が変わる入試のお話をさせていただきます。
立春を過ぎましたが、まだまだ、寒い日がつづきます。皆さま、体調崩されませんよう、お気を付けください。
今日は、一女を楽しんでください。
どうぞよろしくお願いします。
松竹梅の心
正門入って右側、梅の花がほころび始めました。
今日(2/3)は豆まきで鬼退治、明日は立春。春が少しずつ。
1月5日の「小寒」から2月3日の「節分」までが一年で一番寒い時季になります。この時季を「寒中」とか「寒の内」と言います。この厳しい寒さに耐えて頑張るものとして、昔から日本人の心の手本として大切にされている植物が3つあります。これを「歳寒の三友(さいかんのさんゆう)」と言います。松、竹、梅、という言葉がありますね。
「松」は、寒さが厳しい冬でも、暑い夏でも、葉が枯れたり落ちたりしないで、一年中いつも鮮やかな緑色をしています。そのことから、「松の心」は「本気でがんばる心」、誰に対しても仲良くする「思いやりの心」を表しています。
「竹」は、冬に大雪が降っても体を曲げて我慢し、折れたりしません。夏や秋に大きな台風がきても、体を曲げ我慢し折れません。そして、節を作りながら、いつでも空に向かって 真っ直ぐに伸びていきます。そのことから、「竹の心」 は、どんなに辛い時でも苦しい時でも、粘り強くがんばる「根気の心」を表しています。
「梅」は、寒さの中でも確実に蕾をふくらませていて、「寒中」が過ぎたころから、まだまだ寒さが残る中、他の花がまだ咲かない頃に、どの花よりもいち早く花を咲かせて、春が来たことを教えてくれる花なのです。他の花が「春はまだかな?」と迷ったりしている時に、自分は咲くぞと元気に咲くのが梅なのです。そのことから、「梅の心」は、「元気の心」を表しています。
これら「松」「竹」「梅」の心を「ショウ・チク・バイ」、と言って、この「松竹梅の心」、つまり、「松は、本気」、「竹は、根気」、「梅は、元気」の「三本の気」として大事にしていきたい心です。3年生は、いま「松竹梅の心」 。
「松竹梅の心」、このお話は、現在、戸田市教育長の戸ヶ崎先生から伺いました。私は、梅が好きで、まだ寒い時季に咲き始める梅の花には元気付けられます。みなさんは、松・竹・梅ならどの心に惹かれますか?
2月朝礼・校長講話「探究は、世界との対話」
(今朝の正門、快晴の青空で日中は暖かくなれ)
本日(2/2)は、2月朝礼。
表彰、壮行会、校歌練習がありました
・表 彰 アナウンス部は関東地区コンクール、音楽部はヴォーカルアンサンブルコンテスト
・壮行会 ソフトテニス部 関東シングルス選手権大会出場!
応援した人たちの頑張っている姿は、自分の心も励まします
今週から、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開幕します。応援しよう
校長講話は、「探究は、世界との対話」について話しました。
皆さん、おはようございます。暦の上ではまもなく立春ですが、まだ寒い。
伊豆半島、下田の手前に河津町というところがあります。河津桜が有名で、その桜は、一分咲きとのこと。春はもうそこまできています。
3年生がいないと寂しいですね。3年生は共通テストが終わって、猛勉強中です。心の中で応援しよう!
さて、今日は、ある一人の研究者の生き方を通して、皆さんが今取り組んでいる「学び」、そして「探究」というものの面白さについてお話ししたいと思います。今週の土曜日には、探究学習成果発表会もあり、楽しみですね。
皆さんは、シジュウカラという鳥を知っていますか? 街中の公園や、校庭の木々でもよく見かける、白い頬に黒いネクタイ模様が特徴の身近な小鳥です。そのシジュウカラが、実は「言葉」を操り、文章を作って会話をしている……そう聞いたら、皆さんはどう思いますか?
ここに、東京大学の鈴木俊貴(としたか)先生が書かれた『僕には鳥の言葉がわかる』という本があります。今年度のイチオシ、私が一番面白かったと思う本です。図書館にいったら、貸し出し中でした。誰かがいま、読んでいますね。司書さんに聞くと、貸し出し回数は5回目とのこと。
鈴木先生のお話は、光村図書の中学校1年生の国語の教科書にも掲載があったので、「それかぁ」と思う人もいるし、NHKの「ダーウインがきた」でも複数回特集が組まれていたり、SNSやYouTubeでも話題でしたので、「知っているよ」という人がいるでしょう。
鈴木先生は、大学生のころから、15年以上にわたって森の中に身を置き、シジュウカラの鳴き声をひたすら聴き続け、彼ら・彼女らが「タカが来たぞ(警戒)」「集まれ(集合)」といった単語を組み合わせ、「警戒しながら集まれ」という文章を、異なる鳴き声の組み合わせで作っていることを、世界で初めて証明しました。
■「なぜ?」という好奇心の種
鈴木先生の研究の出発点は、いたってシンプルです。「鳥たちは何を喋っているんだろう?」という、純粋な好奇心でした。
皆さんは、日々の授業の中で「こんな公式を覚えて何になるんだろう」「この歴史の出来事を知ってどうするんだろう」と、ふと立ち止まってしまうことはありませんか? 確かに、教科書に載っている知識は、すでに誰かが解き明かした「完成された答え」に見えるかもしれません。
しかし、鈴木先生の探究が教えてくれるのは、「当たり前だと思われていた世界の中に、まだ誰も気づいていない真実が隠れている」ということです。
皆さんが今学んでいる国語の論理構成、数学の統計的思考、生物の知識、そして英語の文法。これらはすべて、バラバラに存在する「暗記項目」ではありません。
いつか皆さんが「これってどういうことだろう?」という自分だけの問いに出会ったとき、その謎を解き明かすための「最強の道具(ツール)」になるのです。
■探究とは「世界との対話」
鈴木先生は、鳥の言葉を解明するために、気の遠くなるような時間をフィールドワークに費やしました。録音機を設置し、鳴き声を分析し、仮説を立て、実験を繰り返す。時には失敗し、鳥たちに無視されながらも、粘り強く観察を続けました。
これが、私が、一女が大切にしている「探究学習」の本質。
探究とは、答え探しをすることではありません。
• 問題となっている事象から、課題は何かを見出すこと。
• 自分の目で見て、違和感を見つけること。
• 「こうではないか?」と仮説を立てること。
• それを証明するために、学んだ知識を総動員すること。
鈴木先生がシジュウカラの文法を発見できたのは、彼が「鳥の専門家」であっただけでなく、言語学や論理学といった、分野を越えた視点を持っていたからです。
本の中で、学問分野を横断するように論文を読み漁っている鈴木先生の様子が描かれています。
高校での学習は、いわば「視力の矯正」のようなものです。学べば学ぶほど、今まで見えていなかった世界の解像度が上がり、情報の裏側にある「法則」が見えるようになってきます。
■失敗を恐れず、面白がる力
鈴木先生は著書の中で、「研究は思い通りにいかないことばかりだが、それが面白い」と語っています。
皆さんに伝えたいのは、「正解を出すこと」以上に「問いを楽しむこと」の尊さです。探究の醍醐味は、ここにあります。
進路に悩み、試験の点数に一喜一憂することもあるでしょう。しかし、高校生活の本当の価値は、知識を詰め込むことも大事だが、その活用可能な知識を使って「自分はどう世界を捉えるか」という自分なりの視点を作り上げることにあるのです。
シジュウカラの鳴き声が、ただの雑音に聞こえるか、それとも緻密な言語として聞こえるか。それは、受け取る側の「知的好奇心」と「学びの蓄え」にかかっています。
■おわりに
2月は、今の学年の締めくくりであり、次のステップへ向けて力を蓄える時期です。
目の前の教科書が「苦行」に思えたら大変。勉強を楽しんでいますか。受験科目に関わりなく、大事な教養としての学びを続けてください。それは、いつか皆さんが「自分だけの森」に入り、誰も聞いたことがない「鳥の声」を解き明かすための、大切な準備期間であるからです。
皆さんの周りには、まだ誰も気づいていない「問い」が溢れています。
春に向けて、少しだけ耳を澄ませて、世界が発している小さな声を聞き取ろうとしてみてください。みなさん一人ひとりが、自分なりの「探究の翼」を広げて羽ばたいていくことを、私は心から楽しみにしています。
第2学年進路保護者会・挨拶
1月31日(土)14:00から、さいたま市文化センターにて、2学年保護者の皆さまに向けた進路保護者会を開催しました。お忙しい中、多数の皆様のご参加をいただきました。さいたま市内はもとより、県内広くお時間をかけて浦和までお越しいただきました。感謝申し上げます。
皆さま、こんにちは。
今日で、1月がおわりですが、あらためまして、
明けましておめでとうございます。時季はずれではありますが、初めてお会いする方もいらっしゃいましたので、失礼しました。
今年もどうぞよろしくお願いします。
保護者の皆さまには、お忙しい中、ご来場いただきました。
ホールを拝見しますと、満席の状況でありまして、多数の皆様にご出席をいただいております。関心の高さを物語っていると感じております。ありがとうございます。
わたくしは今年度、着任して、この1年、一緒に過ごしてまいりました。
部活動、委員会活動や学校行事など、秋以降は特に2年生が主体で学校全体を動かしています。修学旅行も終え、さらに成長している、立派な生徒たちです。
さて、共通テストが終わり、いま、3年生は家庭研修期間です。自分の時間割で、二次試験、私立大学入試の勉強に、思い切り、励んでいます。2年生は、そんな3年生(登校している3年生がたくさんいます)を間近に見ながら、来年の今頃のことを思い描いていることと存じます。
2年生には、これからの1年、勉強のリミッターをはずして、とことん勉強をして、自分の成長を実感する勉強の楽しみを味わって欲しいと思います。
本日は、学年としてのこれまでの取組と今後の指導、そして今後の進路指導の流れについて各主任からの話をお聞きいただきます。後半は、卒業生によるパネルディスカッションという構成になっています。卒業生は、お子さんの近い将来の姿と重ねてご覧ください。
本校の進路指導に関する基本的な考え方をご理解いただきまして、学校とご家庭とで連携・協力してお子さんの進路実現に向けて応援していきましょう。
第一志望を譲らないように、支えていくことが肝要です。
とはいえ、保護者の皆さまも大変ご心配のことと存じます。そのご心配を少しでも払しょくし、今日、お家に帰ったとき、「あなたならできる、やりたいことに向けて全力で頑張ろう」と、お子さんの背中を押していただく、そんなお気持ちになっていただけるように、本日の説明会を準備してまいりました。
学校としても、お子さん達が更に成長していけるよう、一生懸命に支えていきます。
それでは、各担当からお話しをさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いします。
1月全校集会・校長講話「やってみよう!」
皆様、あけましておめでとうございます。
2026年の新年を皆さんと共に迎えられたことを、心から嬉しく思います。冬休み中、大きな事故や怪我の報告もなく、今日この場所に皆さんといること、それが何よりの喜びです。
さて、新しい年が始まるとき、私たちはよく「今年はどんな年にしようか」と抱負を立てます。皆さんは、どんなことを思っているでしょうか。今日は、この一年の始まりにあたり、皆さんに三つのことをお話ししたいと思います。
❶「幸福学」が教えてくれる、本当の幸せとは
一つ目は、「幸福学(ウェルビーイング)」についてです。幸福学は学問領域のひとつ。ちょっと固いけどウェルビーイングなら聞いたことあるでしょう。
「幸せ」というと、何か棚ぼた式に良いことが起きるのを待つことだと思われがちですが、近年の研究では、幸せには明確な「メカニズム」があることが分かっています。
私は、幸せに「メカニズム」があるということに驚きました。このメカニズムを知るわかりやすい本として、講談社現代新書の「「幸せのメカニズム」実践・幸福学入門」という前野隆司(たかし)さんの新書がオススメです。
この慶應義塾大学の前野隆司教授らが提唱している「幸せの4つの因子」は、皆さんの学校生活にもすぐに応用できるものです。その4つとは、
(1)「やってみよう!」因子(自己実現と成長)
(2)「ありがとう!」因子(つながりと感謝)
(3)「なんとかなる!」因子(前向きと楽観)
(4)「ありのままに!」因子(独立と自分らしさ)
皆さん、この4つ「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」を聞いて、それならもうやっているよ!ということがあると思います。「ありがとう」「ありのままに」は一女ならではのことではないでしょうか。一女生活の中に、幸せのメカニズムが入っていますね。
そして、一番目の「やってみよう!」という気持ちも大事にしてほしいと思いました。何かを成し遂げたから幸せになるのではなく、何かに向かって夢中で取り組んでいるそのプロセス自体が、人間を最も幸福にするというのです。
この三学期、結果を恐れずに「まずはやってみる」という姿勢を大切にしてください。それが皆さんのウェルビーイングを高め、ひいては周りの友人たちをも幸せにするエネルギーになります。
❷「勉強」は、自分の自由を勝ち取るための武器
二つ目は、皆さんの本分である「勉強」についてです。
「なぜこんなに苦労して勉強しなければならないのか」と、ふと手が止まってしまう夜もあるかもしれませんし、難解な問題や、多くの学習事項に追われてしまうこともあるかもしれません。
しかし、私はあえて皆さんに伝えたい。「勉強こそが、あなたの人生の選択肢を広げ、自由を勝ち取るための最も確実な武器である」ということです。
私たちが学ぶのは、単にテストで良い点数を取るためではありません。知識を蓄え、思考力を磨くことは、自分の周りに張り巡らされた「固定観念」や「偏見」という見えない壁を壊す作業です。勉強を積み重ねることで、皆さんは世界をより解像度高く見ることができるようになります。
自分の進む道を、誰かに決められるのではなく、自分の意志で選ぶ。その「選ぶ権利」を手に入れるために、今は大いに悩み、脳に汗をかいてください。皆さんが今向き合っている教科書の一ページ一ページは、将来、皆さんが困難に直面した時に自分を守ってくれる盾となり、道を切り拓く剣となるはずです。
❸自分の道を拓くということ
最後、三つ目は「道を拓く」覚悟についてです。
特に卒業を控えた3年生の皆さん、そして進級を意識し始めた1年生、2年生の皆さん。未来は誰かが用意してくれる完成図ではありません。
「自分には無理かもしれない」「周りがこう言っているから」と、自分の可能性に自分で蓋をしてしまっていませんか?
女子校という、性別のバイアスなく何にでも挑戦できるこの環境を、最大限に利用してください。リーダーシップを発揮するのも、探究に没頭するのも、芸術に魂を燃やすのも、すべて皆さんの自由です。
たとえ今、将来の夢が明確でなくても構いません。今日、目の前の授業に集中すること。図書室で一冊の本と真剣に向き合うこと。その小さな積み重ねが、気づけば後ろに「道」を作っています。
結びに
三学期は、一年の中で最も短い学期です。しかし、同時に「一年の締めくくり」であり、「次への助走」となる極めて重要な時期でもあります。
皆さん一人ひとりが、自分自身の「幸せの因子」を見つけ、学びを楽しみ、自らの手で力強く未来を切り拓いていくことを期待しています。
特に、新年の始まりの今、今年はどんな年にしようかという抱負は、「やってみよう!」という自己実現と成長に結びつく大切なものです。
午年の今年、皆さんにとって、実り多き素晴らしいものになることを願っています。ウマくやっていこう!
12/24全校集会 校長講話
今日はあいにくのでした。
風邪をひかないようにしたいところですが、とても乾燥していたので恵の雨でもありますね。
本校は、前期後期制のため今日は終業式ではなく、全校集会。
明日から冬休みですので、切り替えの日です。
令和7年ももうすぐ終わりですね。
全校集会は教室へのリモート配信でした。
多くの表彰があり、アナウンス部の関東地区コンクール出場の壮行会
もありました。
校長講話は「ガラスの天井」について話しました(概要)
皆さん、おはようございます。
今日は、「ガラスの天井」」ということについてお話します。
10月1日の始業式で、「新聞の楽しみ」の話をしました。新聞は、ニュースの扱いが大きいと、文字が大きくなったり、紙面を大きく割いていたりと、眺めるだけで、その影響の大きさがわかります。見出しだけでも読むと参考になりますね。
日々のニュースは様々ですが、みなさん、印象に残ったできごとは何がありましたか。
特に大きなニュースのひとつに、高市早苗さんが、初の女性総理大臣に就任されたことがありました。
1. 歴史の扉が開いた瞬間
第100代を大きく超える日本の憲政史上、初めて「女性」として総理の椅子に座られました。1885年に内閣制度が始まって以来、実に140年近く。この国の中枢に女性が立つことはありませんでした。
皆さんはこのニュースをどう受け止めたでしょうか。「当たり前だ」と思った人もいれば、「ようやくか」と感じた人もいるでしょう。しかし、これは単なる一人の政治家のキャリアアップではありません。日本の歴史において、長く閉ざされていた「ガラスの天井」が、ついに一枚、大きく打ち破られた瞬間なのです。
2. 「女性活躍」という言葉の違和感
ニュースや新聞で「女性活躍社会」という言葉を耳にしますね。政府も企業も、こぞってこのスローガンを掲げています。しかし、私は、この言葉には、違和感を抱くことがあります。
「女性活躍」という言葉がこれほどまでに強調されるのは、裏を返せば、今の社会が「女性が当たり前には活躍できていない」場所であることを示しているからです。本来、能力や志を持つ人が、性別に関わらずその力を発揮できるのは自然なことです。わざわざ「女性」と限定して旗を振らなければならない現状こそが、私たちが直面している現実なのです。
4月に障害者差別禁止法により合理的配慮が義務化されている話をしましたが、全く同じ構図です。
皆さんがこれから飛び込んでいく社会は、こうしたスローガンが叫ばれる一方で、いまだに古い構造や価値観が根強く残っている場所でもあるのです。
3. 足元に潜む「アンコンシャス・バイアス」
ここで皆さんに、一つ意識してほしい言葉があります。それは「アンコンシャス・バイアス」、つまり「無意識の偏見」です。これは、悪意を持って誰かを差別することではありません。自分でも気づかないうちに、「女性はこうあるべきだ」「男性の方がこの仕事に向いている」と思い込んでしまう心のフィルターのことです。
例えば、「数学や理科は男子の方が得意だ」「リーダーはグイグイ引っ張る男性的な強さが必要だ」「家庭を守るのは女性の役割だ」…。こうした刷り込みは、メディアや家庭、そして残念ながら学校生活の中にも、目に見えない霧のように漂っています。
恐ろしいのは、このバイアスが「他人の目」だけでなく、皆さん自身の「内なる声」になってしまうことです。自分には無理かもしれない、これは自分らしくない…。そうやって自ら可能性を狭めてしまうことこそが、最も警戒すべき「アンコンシャス・バイアス」の罠なのです。
幸い、女子校である本校は、何でも自分たちで取り組むことで、バイアスがかかりにくい環境でとてもよいのですが、大学や社会に出ると、その分違和感を感じることがあるということです。
4. 高い志を持つ皆さんへのメッセージ
本校で学ぶ皆さんは、志を高く持っています。私は、皆さんが日々、学校生活に熱心に取り組み、友人と考えを深め合う姿を誇りに思っています。
いずれ社会で活躍する皆さんに、三つのことを伝えたいと思います。
第一に、「前例がないこと」を諦める理由にしない。
今回の女性総理の誕生が示しているように、歴史は常に「最初の一人」によって塗り替えられます。皆さんが何かを志したとき、もし周りにロールモデルがいなかったとしても、それは皆さんが「最初の一人」になれるチャンスなのだと捉えてください。
第二に、自分の「違和感」を大切にする。
社会に出れば、アンコンシャス・バイアスに満ちた言葉を投げかけられることもあるでしょう。その時に感じる「なぜ?」や「おかしい」という感覚を、どうか押し殺さないでください。その違和感こそが、社会を変える種(たね)になります。
第三に、連携の力を信じる。
一人で天井を破るのは大変なことです。しかし、ここには同じ志を持つ仲間がいます。互いに支え合い、認め合うネットワークこそが、偏見のある社会を渡っていくための最強の盾となります。
おわりに
「女性初」という言葉がニュースにならない日が、いつか必ず来ます。それは、性別という属性が、個人の能力や尊厳を上回ることがなくなった世界です。
高市総理の誕生は、その未来への第一歩に過ぎません。そのバトンを受け取り、さらに先の景色を見に行くのは、ここにいる皆さん一人ひとりです。
みなさんには、自分のやりたいことに全力で取り組む勇気を持ってほしいと願っています。
「学習の手引き」の巻頭言
毎年年度当初、本校では生徒向けに「学習の手引き」を作成して、学習のガイドとしています。
来年度版の巻頭言です。
体系的な「知」の構築へ ――「上手い学習」の実践
はじめに
高校に入ると、中学のときに比べて、難しい用語がやたらに多くなり、ぐっと専門的になってくる。教科書を読んでも、授業を聞いても、よく理解できないという感じを味わうことがあるかもしれない。授業の進み具合も早く、テスト範囲も広大だったりする。大変だ。そのために、この「学習の手引き」を参考にして授業をもとに上手い学習を進めてほしい。
ところで、学習とは何か。
学習とは「知識の関連づけ」である。上手い学習とは、知識を活用して関連づけること。知識が関連づくとは、これまでに学習したこと(既有知識)と、新たに学ぶことが関連づいて意味がわかるということ。つまり、学習事項が増えれば増えるほど、関連づく知識がネットワークのように結びつき、より多くのことを獲得できるようになる。学べば学ほどよくわかるようになる(はず)。テスト範囲が広くなった方が好都合である(はず)。そんな上手い学習が進められるように成長していこう。
■覚えるということと思い出すこと
唐突だが、道路でみる3色の横型信号機[◯◯◯]の色の順番は?と言われて自信をもって思い出せる人はどれくらいいるだろうか。
例えば、信号機[◯◯◯]の色の順番は大事なので覚えてください、テストに出します、と言われたらどうするか。覚えるには2つの方法がある。
一つは、色の順番を何回も書いたり暗唱したりして反復練習して覚える学習。一方で、「なぜその配置なのか」という「意味理解」を伴う学習がある。日本では車は左側通行だ。運転席は右にあり、道路の中央線も右側に来る。街路樹などに遮られず、対向車線側からも最も視認性が求められる重要な色は「赤」である。ゆえに、道路中央(右側)に最も近い位置に「赤」を配置する必要がある。論理的帰結として、信号機は[(青)(黄)(赤)]とならざるを得ない。
そして、テストに出るのは「縦型の場合はどうなるか?」という問題だったりする。横型しか覚えてないという人はお手上げ。どうしてそうなるか(意味)がわかっていれば、上が(赤)になることを理由とともに答えられる。意味を理解していくことで、知識の活用場面を広げていくこと(応用)ができる。そして、意味理解をしている学習内容は、時間が経ってもその知識が瞬間で頭の中に展開(想起)されて使える状態になる。
一つ注意として。ときには反復で覚えることも大事なときがある。どちらかに限定してしまわないことも上手い学習だ。
■日常モード、学問モード
認知心理学者の市川伸一先生(東京大学名誉教授)は、高校生の皆さんに言葉の理解の仕方について、「日常モード」から「学問モード」で学ぼうと提唱している。
日常生活の中で獲得してきた言葉は、経験に基づいて共有されたものを使っているうちに意味をつかんでしまう。ここでは、定義を求められてもうまく言うことができない。これを「日常モード」。一方、学校での勉強はだいぶようすが違う。教科書には言葉の意味を定めた定義がたくさん出ている。「・・・を◯◯という」ふうに書かれていることが多い。それを通して理解せよと言われる。これが「学問モード」。
当たり前だが、定義を丸暗記しても使いものにならない。定義は、具体的な事例をもとにどういうことなのか概念として説明できること。問題演習は事例の一つである。定義語を共有していくことは、授業で先生の説明を理解するときに欠かせない。しかし、定義に意識があまり向いていないということはないか。この状態で問題ばかり解いていると日常モードを抜けきれず、何を学習しているのかが曖昧なまま進んでしまう恐れがある。上手い学習をするために「学問モード」が大事。
おわりに
高校での学習内容は、将来、皆さんが、複雑な社会課題に向き合い、解決へと導くための「教養(リベラルアーツ)」の土台となるものだ。単に入試のための道具ではない。知識と知識がつながり、世界が鮮やかに見えてくる瞬間——その知的興奮こそが、学びの原動力である。この「学習の手引き」を傍らに、創造的で「上手い学習」の実践につなげていこう!
(参考:「勉強法が変わる本」市川伸一)