2023年10月の記事一覧
保護者向け講演会(講師:MURC執行役員・主席研究員:矢島洋子先生)
10月14日(土)14:00から本校視聴覚室にて、保護者向け講演会「『これからの女性のライフプランニング』~企業のダイバーシティ・女性活躍推進を踏まえて~」が行われました。講師は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)執行役員・主席研究員の矢島洋子先生です。
当日は60名を超える保護者が参加しました。昨年は男性の姿はありませんでしたが、今年は3名の参加がありました。
講演の内容は保護者世代と現在では企業の働き方が大きく変化してきており、保護者世代が体験してきた感覚とは様々な点で違いがあることがよくわかる内容でした。ダイバーシティ=多様性が社会の前提となり、労使ともに働き方に対する考え方が柔軟に変化してきていることがよくわかりました。保護者世代では結婚、出産、育児により退職を選択するしかなかったという方も多かったはずです。その後、再就職や派遣社員として仕事に復帰された方も多いのではないでしょうか。いわゆる「女性の働き方がM字カーブを描く」のが日本の労働環境だったものが、最近は「M字」の底が上がってきているということで、近年では多くの企業で妊娠・出産で離職する女性は少数になってきているとのことです。若い世代の夫婦の役割分担意識の変化、男性と女性の賃金格差の縮小により女性が働くことの家庭内でのニーズ拡大など働く側の事情の変化も大きいものの、労働時間の短縮や短時間労働の導入、リモートワークなどの柔軟な働き方の推進、女性の管理職登用など人事制度改革、ビジネスモデルの見直しなど企業側の変化が進んでいることも背景にあるようです。企業も変わらないと生き残れないということのようです。今後、終身雇用制度の見直しも進むことは確実で、働く側もその変化のプラス面を見極め、利用していけると得るものも大きいのだとわかりました。
保護者世代としては、女性はライフステージの変化により働く選択肢が狭まることが多いため、「資格を持っていることが有利に働く」や「公務員の労働環境が良い」と考え、子どもにもそれにあった進学を提案することが多いのではないでしょうか。しかし、矢島先生のお話を聞き、新しい価値観を獲得できたと思われます。「これからは女性も男性も本当にやりがいの感じる仕事を自分のライフプランニングにあった環境の企業で働くことが重要になってくる。資格を取ることや公務員になることが本人のやりたいことと一致しているのであれば問題ないが、やりたいことではない仕事を選択することは人生の選択として適切とは言えない。それよりも、やりたいことのスキルアップを継続し、環境をただ受け入れるのではなく自ら主張したり選択したりしていくことこそ、より良い人生をつかむことになるのだ」というものです。また、現在、大企業の多くは柔軟な働く環境整備に取り組んでいるが、中小企業では大企業以上に柔軟な働き方を取り入れている企業もある一方で、改革が遅れている企業もあり、その差が大きい傾向にあるということでした。その見極めも重要になってくるのだと思います。
保護者や教員は自分の経験や価値観を子どもや生徒に良かれと思って押しつけているころが多いということを改めて知ることができました。矢島先生がおっしゃる「アンコンシャスバイアス」も大人が若い世代に植え付けていることも気づかされました。
探究学習は既存の知識や考え方にとらわれずに新しい答えを探す活動です。今回の保護者講演会は聞き取りや調査に基づく数多くのデータを示していただき非常にわかりやすく固定概念を壊していただけるものだったと思います。参加された方は是非、今後のお子様との話し合いに活用していただきたいと思います。探究学習部では生徒はもちろん、保護者の皆様にも様々な「学び」を提供していきたいと考えております。
10月6日(金)SGH全校講演会「文藝春秋文芸出版局第二文芸部長 川田未穂先生」【探究学習部】
10月6日(金)の午後、探究学習部主催のSGH全校講演会が開催されました。講師は文藝春秋文芸出版局第二文芸部長川田未穂さんで、演題は「自分の好きを追いかけて ~スポーツに全力投球した私が文芸編集者となって~」です。
川田さんは高校から始めたバスケットに夢中になり初心者でも努力してレギュラーを勝ち取り大学進学もバスケットが強く、打ち込めるという基準で大学を選び早稲田大学に進学されたそうです。高校、大学時代はひたすらバスケット中心の生活をされますが、大怪我もありバスケットの選手を続けることを諦め、現在の文藝春秋社に就職されます。大学時代はバスケットオンリーでまったく本を読まなかったそうですが、中学時代に繰り返し読んだ本やバスケットに打ち込んだ経験により突破したそうです。
入社後はジョブローテーションにより「週刊文春」、スポーツ誌の「Number」、ファッション誌、そして文芸担当と担当される分野は変わっても、何に対しても常に前向きに取り組む姿勢が、どの部署でも活躍される原動力になっているようです。また、仕事とは別に学生時代から一貫してバスケットと関わり、選手から指導者へと立場は変わっても「好き」なバスケットの道を常に追求されていることもお仕事をする上でプラスに働いているようです。
将来、出版関係企業に就職したいという人はただ勉強をがんばり、読書経験を積むだけでなくアンテナを高くして、様々なことに関心を持ち、その中でも誰にも負けないくらい自分が好きだと思えるものを持っていることが大切です。
10月3日(火)「西村あさひ法律事務所トークセッション」 【探究学習部】
10月3日(火)西村あさひ法律事務所の弁護士・スタッフ18名の方が来校され総合探究の時間のサポートと放課後の「法律キャリアガイダンス」を実施してくださいました。
総合探究の時間は2年生のグループ活動の教室にそれぞれ入っていただき、活動の進捗状況を確認、課題の設定や「問い」の立て方についてご指導をいただきました。全体的に課題が大きすぎて自分たちが関われる範囲を越えてしまっていたり、自分たちが考えた「問い」になっていないなどのご指摘が多かったようです。今後の活動に是非活かして欲しいです。
放課後の「法律キャリアガイダンス」では若手女性弁護士さん3人によるパネルディスカッションがおこなわれました。それぞれの弁護士になる経緯、現在の仕事内容、ワークライフバランスについてなど現場で活躍している方からのお話はとても刺激的で新鮮なものでした。特に弁護士の仕事は主に法廷でおこなわれるものだと思う人が多いが、実際は企業のM&Aの仕事が多く会議に出席したり、交渉に出かけたり、そのための調査活動が大部分だというお話には多くの生徒が驚いていたようです。
その後、18名の方がそれぞれの参加者の個別の質問を受ける形で、時間があっという間に過ぎてしまいました。一女生からは「法学部に進学すると法曹以外にどんな仕事に就けるのか」「自分でも司法試験を突破できるか」「司法試験までどのような勉強をどのくらいやったのか」など様々な質問が出されました。質問に対して暖かく、ていねいな回答をいただき、参加者のモチベーションも上がったようです。
参加者の感想から
「たくさんの弁護士の方に会う機会というのがなかったので、とても新鮮でした。面白い話もたくさん
伺えましたし、一概に弁護士といっても色々な分野で仕事があって、とてもやりがいのある職種なのだ
なと実感しました。今まで法学部志望でしたが弁護士に興味はあまりなかったけれど、今回のキャリア
ガイダンスを受けて弁護士にすごく興味を持ち、弁護士を目指して勉強を頑張ろうと思います」
「自分のキャリアについてあまり深く考えたことがなかったので、考える機会になればと思い参加しま
した。元々法学部も受験の選択肢には入っていたけど、今回の講義を聞いて、より法学部や弁護士とい
う仕事について興味を持ちました。また、知らなかったような弁護士の方の実際の声を聞くことができ
てよかったです」
「私の将来の夢は弁護士ではありませんが、法学部、政治・経済学部に興味があり、今回のガイダンス
に参加しました。今後進路を考える上で役に立ちそうです。一女までお越しくださってありがとうござ
いました」