2026年6月の記事一覧
6/13 第1回学校説明会・校長挨拶
多数の皆さまにご参加いただきました。
貴重な時間を割いてご来校いただいたことと存じます。
ありがとうございました。
はじめに、音楽部の生徒による演奏(合唱)をお聴きいただきました。
感動
私から皆様へのご挨拶です。
■ 皆さま、おはようございます。校長の山﨑正義です。
本日は、今年度第1回の学校説明会にお越しいただき、ありがとうございます。
保護者の皆様におかれましても、お忙しい中、本校に足をお運びいただきました。重ねて御礼申し上げます。
■ さて、今日は一女に入学しなければ体験できない、他の学校にはない一女の教育活動をたっぷりとお伝えします。
生徒に聞くと、説明会にきてみて、一女に決めたという先輩がたくさんいます。良さを感じるところは、この体育館でのお話かもしれませんし、校内を回っての授業や生徒の様子かもしれません、今日はすみずみまでご覧ください。
この後、各担当から詳細についてご説明しますので、私からは、校長として、女子校のよさと、それに基づいた本校の教育について、お話します。
■ まず、本校は1900年(明治33年)に創立され、今年126年目を迎えました。
県内はもちろん全国的にも最も伝統のある女子高校の一つです。やはり伝統校ならではの落ち着いた雰囲気や環境が本校の魅力の一つです。
■ 現在1,072名の生徒が在籍しています。全員、女子です。
この女子のみというところが、勉強、部活や行事など、学校生活を送る上でのよさにつながっています。
女子のみで学校生活を送っていることで、例えば、生徒は、こんなふうに言っています。
「異性を気にせず生活できる。」
「自分が女子であることを意識しない。」
「ありのままの自分でいられる。」
これは、一人の人として接するということであり、一人ひとりがのびのびとやれる環境があるということです。
ここにいる皆さんも同じだと思いますが、しっかりとした人は、自分のことを考えると伴に、他者への配慮もできる。本当の意味で、切磋琢磨して人間的な成長につながる集団が形成されていきます。
■ ここで、慶應大学の教授、前野隆司(たかし)先生たちが科学的に研究されている、「幸福学」についてご紹介します。幸福学は、ウエルビーングとも言われていますね。
この前野隆司先生たちが提唱している「幸せの4つの因子」というものがあります。
(1)「やってみよう!」因子(自己実現と成長)
(2)「ありがとう!」因子(つながりと感謝)
(3)「なんとかなる!」因子(前向きと楽観)
(4)「ありのままに!」因子(独立と自分らしさ)
この4つのことは、一人でと言うより、仲間で!ということですね。つまり、どんな集団に属しているかで、その在り方が変わっていきます。
この4つを、本校に照らしてみると、例えば、
「やってみよう」は、何にでも果敢にチャレンジする力・勇気がある。
「ありがとう」は、お互い素直に友達に感謝をつたえられる。
「なんとかなる」は、みんなで協力して成し遂げる文化がある。
「ありのままに」は、個人を尊重し、素の自分をだせる安心がある。
これらは、女子のみでの生活だからこそ、うまく育んできたものです。
私は、女子校のよさとして、本校の教育を支えているものと捉えています。
■ では、本校が目指している教育についてお話します。
目指す学校像は「世界で活躍できる知性と教養、逞しさを備え、社会に貢献する高い志を持った女性リーダー」を育成することです。
私たちは、将来、国内、国外を問わず、世界のどこかで活躍するリーダーを育成したい、と強い使命感を持って日々教育活動に臨んでいます。そうした点で、一女は、今ここにいらっしゃる中学生の皆さんが将来の夢の実現のために、視野を拡げ、教養を高めるために、更に大学で学んで欲しいと思っています。
しかし、大学に合格することだけを目標に3年間の高校生活を送るのかというと、決してそうではありません。私たちは大学合格後のその先を見据えた教育に本気で取り組んでいます。授業はもちろんのこと、SSHなどの探究学習、海外交流派遣、委員会による学校行事、そして部活動などバランスのとれた全人教育が伝統になっています。
■ 柔軟な発想で知恵を出し合い、みんなで協力し合って課題解決に取り組む場面は、いたるところで見受けられます。学ぶと言うことが、学校全体の生活の中に散りばめられていて、一女生活そのものが学びになっています。
一女で過ごす期間は約1000日。様々な経験によって、これからの時代を生き抜くための本物の教養を磨いてほしいと思います。
■ 以上、私から一女のPRをさせていただきました。
どうぞ、今日は一女を楽しんでください。
自慢の生徒です。直接、話しかけてみてください。
それでは、各担当からの説明をさせていただきます。
それから最後に、今年度、体育館にエアコンが入る予定です。来年度から使えるようになると思います。
4月に皆様にお会いできることを楽しみにしております。
6/1 朝礼・校長講話「あなたの脳は、あなたをだましている」
【昇降口下の紫陽花】
今日は6月朝礼
みずみずしい新緑に包まれた5月が颯爽と過ぎていきました
校内の紫陽花がきれいに色づいています
校長講話は、「あなたの脳は、あなたをだましている」
私たちは、ときとして不合理な選択をしてしまうことがわかっています
生徒の皆さんには、自分の頭とうまく付き合って、勉強もうまくなって欲しい!
参考図書は、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」ハヤカワ
みなさん、おはようございます。
突然ですが、問題です。よく聞いてください。よいですか。では、
Q バットとボールを合わせると1100円です。バットはボールより1000円高い。ボールはいくらでしょう?
頭の中に、すぐ「100円」という答えが浮かんだ人はいますか?
実は、正解は 50円 です。
「100円」と答えた人、安心してください。ハーバード大学の学生でも半数以上が同じ間違いをしました。これは頭が悪いのではありません。脳の仕組みそのものの話です。
●システム1とシステム2
今日は、この本、認知心理学者のダニエル・カーネマンによる「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」をもとにお話しします。とても面白いので、オススメです。ダニエル・カーネマンは、専門は意思決定論、行動経済学、2002年にノーベル経済学賞を受賞しています。
このダニエル・カーネマンは、私たちの思考には2つのシステムがあると言いました。
一つは 「システム1」―― ファスト思考。速い思考
瞬時に、自動的に、ほとんど無意識に働きます。
例えば、「1+1は?」「朝のSHRで担任の顔を見て、機嫌悪そうだな、危険を感じる」、そういった判断です。エネルギーをほとんど使いません。そして、私たちの日常の選択の大半は、実はこのシステム1が行っています。
もう一つは 「システム2」―― スロー思考。遅い思考。
論理的に、じっくりと、意識的に考えます。
複雑な計算、慎重な判断、新しい概念の理解。これがシステム2の仕事です。しかし、疲れる。時間がかかる。だから脳はできるだけこれを使いたがらない。
先ほどのボールの問題で「100円」と答えてしまったのは、システム1(速い思考)が「1100円と1000円から100円っぽい」と瞬時に結論を出し、システム2(遅い思考)がそれを検証しなかったからです。
●私たちが気づかずにハマっている「罠」
カーネマンはシステム1が引き起こす、いくつかのバイアス(思考の歪み)を明らかにしました。みなさんの学習にも、深く関わるものを三つ紹介します。
① 「わかった気」になる罠 ―流暢性の錯覚
教科書を読んでいて、「あ、わかった」と感じたことはありますか? でも、いざテストで問われると書けない。
これは、読むことと理解することを、脳が混同するからです。文字がスラスラ読める=内容が理解できた、とシステム1が誤解する。本当の理解かどうかを確かめるには、本を閉じて自分の言葉で説明してみるしかありません。「人に教えられるか」が、本物の理解の基準です。
② 「最初の印象」に引きずられる罠 ―アンカリング
模試で偏差値55を取った。「自分は55くらいの人間だ」と、その数字が頭に刻まれる。次に50を取ると「やっぱり自分はこの程度か」と落ち込む。
これがアンカリングです。最初に与えられた数字や情報が「錨(いかり)」となり、その後の判断を縛る。一度の点数があなたの可能性の天井ではありません。数字はあなたの現在地であって、あなた自身ではない。行きたい大学を目指せ!
③ 「努力しているから成長しているはず」という罠 ―確証バイアス
一生懸命勉強している。だから実力はついているはずだ―そう信じたい気持ちは自然です。しかしシステム1は、自分の信念を支持する情報ばかりを集め、反する情報を無視しようとします。
自分の信念を支持する情報といえば、AIの回答は質問した人に肯定的な回答を返してくる傾向がありますね。AIに相談するときは、確証バイアスに要注意です。
「なんとなくわかった」で終わっている演習、答え合わせで○をつけただけの問題。それは本当に身についていますか? 自分への問いかけが必要です。
では、どうすればいいのか
カーネマンのメッセージは「システム1を信じるな」ではありません。
システム1は私たちが生きていくために不可欠な、素晴らしい能力です。
彼の主張は、
「重要な場面で、立ち止まれ」
ということです。
学習の場面でいえば、こういうことです。
| システム1に任せてしまいがちな場面 | システム2を意識的に動かす習慣 |
| 「読んでわかった気になる」 | 本を閉じて、白紙に書き出す |
| 「解説を見てわかった気になる」 | 翌日、何も見ずに再挑戦する |
| 「なんとなくこの答えっぽい」 | 「なぜそうなるか」を言語化する |
| 「自分はこの程度の人間だ」 | 「今日の自分は昨日より何が変わったか」を問う |
こういうことは、いつも先生から言われていることですね。
●最後に
みなさんは今、「考える力」そのものを鍛える場所にいます。
システム1の「なんとなく」に気づき、システム2の「待てよ、本当にそうか?」を発動させる。その習慣こそが、難問を解く力であり、受験という選択を超えて、これからの人生で本物の判断力になります。
「速く答えを出せる人」より、「立ち止まれる人」が、長い目で見て賢い。
脳は、楽をしたがります。でも、あなたはその脳の主人公です。
今日から勉強するとき、「これは本当にわかっているか?」と、一度立ち止まってみてください。
その一瞬の問いかけが、あなたの思考を、確実に変えていきます。
思考の論理エンジンを磨いていこう!
(参考:ダニエル・カーネマン著『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』村井章子訳、早川書房)