第77回卒業証書授与式「式辞」
卒業
生徒が、立派に巣立っていきました
式辞を送りました。
校内の杜に、春の訪れを感じる今日の佳き日に麗風会会長の栗原 美恵子様、PTA会長の山本紀恵様をはじめとして、多数のご臨席を賜り、「第七七回卒業証書授与式」を挙行できますことは、卒業生はもとより、私たち教職員にとりましても この上ない喜びです。
心より 感謝申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与しました卒業生の皆さん、卒業 おめでとうございます。四年間にわたる 努力と成長に敬意を表します。
思い返すと、6年前、新型コロナ感染防止の対応が始まりました。日常を取り戻した今となっては、昔のことのようですが、皆さんにとっては、大事な中学から高校生活にかかる頃です。大変な思いがありました。
疾風に勁草を知る。苦難にあってはじめて、各自のよさがわかります。みなさんの成長につながるものであったと確信しています。
卒業生の保護者の皆様、お子様のご卒業、心からお祝いを申し上げます。皆様には、PTA会員として、本校の教育活動に対し、温かいご理解とお力添えをいただきました。厚く御礼申し上げます。
さて、卒業生諸君、これからをどうしていくか。
皆さんの強みは、本校での学びにより様々な資質・能力を身につけていること。教科で学んだ知識をはじめとして、粘り強く、あきらめずに最後までやり遂げる力など、人間として大きく成長しています。
そして、その知識・技能をもとに、自分の希望を実現するため、これから自分のやりたいことに 何でも挑戦していけること。挑戦しようと思えば、何度でも その機会があることです。
しかし、それは同時に、まだ 何者でもない という弱みでもあります。
就職する人は、そこで精一杯頑張ろうと決めているでしょう。進学する人はもう少し自分と向き合ってみて、将来を考えてみようと思っているかもしれません。
ここで、私のことを少し話します。私は 大学を卒業して、民間企業に就職しました。しかし、数学の教師になりたいという思いがあって、その会社を辞めて教員採用試験を受けることにしたのです。
会社を辞める時は、結婚をしていたし、小さな子もいました。そして就職超氷河期。そんな状態で、会社を辞めるとなったら、賛成してくれる友人や知り合いは殆どいませんでした。
そんな中、高校時代の担任に相談しました。その担任である恩師は、「そんなにやりたいんだったら 頑張れ、お前なら いい教師になれるよ」、と励まし、応援してくれたのです。
そして、「お前、覚悟はあるのだろうな」と言われたのです。覚悟、とは重い、重い言葉でした。また、私の妻も賛成して、応援してくれたのです。すばらしい妻だと思っています。私は、応援してくれる人がいて精一杯、頑張ることができました。
その後、教師になって、本当によかったと思っています。今日ここでこうやって、皆さんに、式辞を送っています。皆さんの卒業を祝福することができて、とても幸せです。皆さんとの出会いに感謝申し上げます。
まだ、何者でもない皆さんは、卒業後、様々な経験を積む中で、更に成長していきます。ひょっとしたら、今は意識していないような「本当になりたいもの」があるかもしれません。
・ここで、神戸女学院大学の内田樹さんの話を紹介します。
・スティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業式の祝辞で こう言いました。「一番大切なのは、あなたの「心と直感」に従う勇気だ。なぜなら、あなたの「心と直感」は、あなたがほんとうは何になりたいのかを知っているから。」
・内田さんは、ここで大切なのは「心と直感」ではなくて「それに従う勇気」だと言います。
・勇気が要るのは「あなたが 本当になりたいもの」になろうとすると、周りの人がおおかた反対するからです。心と直感に従うことを、周り中が賛成してくれたら、勇気なんか要りません。「そんなこと止めろ。力づくでもとめるぞ」とみんなが言うから、それに抗うには勇気が要るのです。
・この内田さんの話は、私の経験から「なるほど、そうだよな」と思うところがありました。「自分で、これいいな、やってみたいな」と思っても、今を考えると躊躇することが多いものです。自分の心と直感にしたがう勇気は、なかなか出しにくいかもしれません。
保護者の皆さま、お子さんが自分の気持ちを伝えに来たときは、背中を押して、応援してあげてください。
人生は平坦ではありません。
嬉しいこと、楽しいことがある中で、どうしようか悩むこともありますね。
最後は、自分のことは、勇気と覚悟をもって、自分で決めるのですが、その前に誰かに相談できるとよいですね。
みなさん、迷ったり、困ったら相談をしにおいで。一女定時制の先生は応援しています。そしたら、その応援に応えるように、また頑張れるでしょう。
ゲーテのこんな言葉もあります。「自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる」。
言葉は、その時の気持ちを支えてくれたり、勇気づけてくれたりします。
本校の卒業生は皆さんを加え、三四、九三三名となりました。およそ三万五千人の一女卒業生が、社会を支えています。
みなさんも、そんな卒業生の仲間入りです。卒業生同士のつながりも大事にしてください。
日本は、課題先進国といわれ、超高齢化社会が世界最速で進んでいます。人口減少や産業構造の変化もあります。AIなどの技術革新が速く、これから学ばねばならないことがたくさんあります。
次の世代を支えていくのは、皆さん。これから、一緒に頑張っていきましょう。
皆さんの これからの着実な歩みを 心から願いまして 式辞といたします。
令和八年三月十三日
埼玉県立浦和第一女子高等学校長
山﨑 正義